既存の太陽光発電の規制を緩和、蓄電池併設とパネル交換・増設ルールが見直しへ
カーボンニュートラル実現に向けて、適正な事業規律の確保と地域社会との共生を前提として、太陽光発電のさらなる導入拡大が期待されている。
2022年度第1四半期の太陽光発電入札においては、平均落札価格はFIT:9.93円/kWh、FIP:9.87円/kWhと、着実な価格低減が進んでいるものの、その応札容量はFIT:25MW、FIP:129MWと、募集容量を大きく下回る状況となっている。
2030年の再エネ比率36~38%を達成するためには、太陽光で毎年5GW~6GW(100万kW)程度の新規認定が必要と試算されているが、適地の減少や度重なる制度変更等により、太陽光発電の認定容量は近年、縮小傾向にある。
そこで資源エネルギー庁の「再エネ大量導入・次世代電力NW小委員会」では、蓄電池の併設や太陽光パネルの増設等に関するルールを変更することにより、既存太陽光設備の有効活用や増出力の促進が検討されている。
蓄電池併設の促進
再エネ電源の市場統合を目的として2022年度からFIP制度が開始されたが、現実的に太陽光や風力といった変動電源が、電力需給バランスや市場価格を意識した行動を取るためには、売電・系統への逆潮流のタイミングをシフトできる蓄電池を併設することが不可欠である。
ところが従来のFIT制度においては、FIT認定後に蓄電池を設置する場合は、過積載分の売電による事後的な国民負担の増加の懸念があるため、調達価格が最新価格へ変更される事由とされている。これが蓄電池併設のブレーキの1つとなっていた。
事業用太陽光の過積載率は特に低圧太陽光で顕著であり(平均値179.4%)、高圧以上も140%前後の過積載率となっている。
過積載の場合、PCS容量(kW)を上回るパネル容量(kW)部分による発電量(kWh)は売電することが出来ないが、過積載率175%の太陽光発電ではその逸失電力量kWhは6%程度と試算されている。
仮に昼間帯に発生するこの逸失電力量を蓄電し、点灯帯や夜間に売電するならば、発電事業者は総発電量を増加させることが可能となる。ただし、一般的な蓄電池の充放電ロスは10%程度と言われていることに留意が必要である。