太陽光、年間6GW規模に回復へ。資源エネルギー庁が2030年に向けテコ入れ
さまざまな事業者からのヒアリングを終えた資源エネルギー庁が、2030年に向けた政策イメージを打ち出した。太陽光は現在の政策を続ければ、2030年の現行の目標値をクリアできる見込みだ。しかし、直近の認定量の落ち込みなど乗り越えるべきハードルは多い。
太陽光の2030年目標値現政策を継続で達成見込み
資源エネルギー庁は、4月7日の第31回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で、2030年の太陽光の累積導入量を約88GWとする試算を明らかにした。
2020年3⽉末時点までのFIT制度前後を合わせた太陽光発電の導入量が56GWで、認定済みの未稼働分を18GWと推計した。さらに、現行の政策を続けると認定量は年間1.5GWを継続できるとし、2030年までの新規導入量を14GWと見積もった。これらを合わせると約88GWになる試算だ。
第5次エネルギー基本計画のエネルギーミックスでは、2030年の再エネ比率を22~24%としている。このうち太陽光発電の目標値は64GWであり、現行の政策を続ければ達成できるという見通しだ。
2030年における太陽光の導入見通し
(出典:資源エネルギー庁)
1.5GWまで落ち込んだ導入量 2030年までに6GWまで回復
一方、3月に実施されたヒアリングではさまざまな課題が浮き彫りになった。太陽光発電のFIT認定量は、制度導入時は年間7~8GWであったものの、ここ数年は1.5GWと低迷している。同委員会では(1)地域共⽣・適地の確保 (2)太陽光産業が縮⼩する中での産業の維持・再構築 (3)ローカル系統の整備を中⼼とした系統の整備 (4)PPAなどのFIT制度に頼らないビジネスの推進――の4点を課題として捉えている。
これらの課題に対して、再エネの「促進区域」を定めるポジティブゾーニングやソーラーシェアリングの要件見直し、オフサイト型コーポレートPPAなどによって解決を図る考えを示した。
(出典:資源エネルギー庁)
今回の委員会では、産業としての太陽光事業を2030年までに年間6GW規模までに回復させることを目標に掲げた。今後はこの絵姿を念頭に、さらに産業活性化の検討が深められる。